はじめに
ゴルフは古くから多くの人々に愛されているスポーツであり、その魅力は年代や性別を問わず広がっています。テレビ中継の大会や、著名なプロゴルファーの活躍、そして地域のゴルフ場での開放感あるプレイが、多くの人々をゴルフに引きつけています。
ゴルフは、戦略や技術、そして自然との調和が求められるスポーツであり、それが多くのファンの心をつかんで離さない理由となっています。
また、ゴルフは他の多くのスポーツとは異なり、高齢になっても楽しめる点が大きな特徴です。これにより、さまざまな年代の人々がゴルフ場に訪れ、新しい友人やビジネスのパートナーとの交流の場としても利用しています。
一方で、ゴルファーの怪我の増加との関連性についてですが、ゴルフの人気が高まる一方で、怪我をするゴルファーの数も増加しているとの報告がなされています。特に、初心者や独学でプレイする人々は、適切なフォームや技術を知らないままプレイするため、怪我のリスクが高まる可能性があります。
また、ゴルフは一見、低インパクトなスポーツのように思えますが、スイング時の身体の回転や、繰り返しの同じ動作、長時間の立ち姿勢、長距離歩行などが、腰痛や膝の怪我、そして上半身の筋肉や関節への負担を増加させる原因ともなっています。
ゴルフの人気が高まる中、正しい知識や技術の習得が怪我の予防には不可欠です。特に新しいゴルファーは、正しいフォームやストレッチ方法を学ぶことで、怪我のリスクを大きく減少させることができます。安全に、そして長くゴルフを楽しむためには、常に体のケアや継続的な学びを忘れずに行うことが大切です。
新しくゴルフを始めた方もそうですし、全ゴルファーは正しいフォームやスイング理論を学ぶとともに、身体の構造や身体が動くメカニズムも理解することで、未然に怪我などの傷害を予防することが可能となります。この辺については、下記の記事も参考にしてみてください。
この記事では、ゴルファーに多い怪我とその理由について、簡単ではありますがご紹介をしていきます。詳しい内容については、今後各々の部位で詳細に紹介をしていきますので公開までお待ちいただければと思います。
ゴルファーに多い怪我の種類とその理由
①腰痛
ゴルファーの中で最も一般的に報告される怪我が腰痛です。スイング中の身体の回転動作や、ゴルフをする際の姿勢が、腰部に過度なストレスをかけることが一因となっています。
原因としては、下記のことが挙げられます。
- 不適切なスイングフォーム:腰を中心とした回転をすることで腰に余分な負担がかかる
- 長時間の練習やプレイ:繰り返しの動作、同じ方向の動作により筋肉や関節に疲労が溜まる
- 不十分なストレッチやウォームアップ:筋肉が硬くなっている状態でのプレイは怪我のリスクを増加させる
よくゴルフでは「腰を回せ」と言われますが、腰の骨を腰椎と言いますが、腰椎は解剖学的構造上、数ミリしか動きません。
実際は、腰を回せと言っても肩や肩甲骨、股関節などの様々な関節が連動して動くものなのですが、腰を回す意識をすると脳でそれがインプットしてしまうため、他の部位の動きが止まってしまうことがよくあります。そうなると、腰の過剰な回旋が起こるために腰への負担が急増し、腰痛を引き起こします。
また、ゴルフは、同じ方向への動きが多いために繰り返し機械的なストレスが身体にかかることになります。
さらに、これはよく練習場でも見かけますが、ストレッチなどのウォーミングアップを全くやらない人が非常に多いです。練習場についたらすぐに打ち始める。この気持ちもよくわかるのですが、これでは間違いなく怪我を誘発します。
早く打ちたいという気持ちを抑えて、まずは10分から15分程度はウォーミングアップをして、身体を温めてから練習をするようにしましょう。
②肩や肘の怪我
特に「ゴルフ肘」としても知られる内側上顆炎や、肩の炎症や痛みは、ゴルファーにしばしば見られる怪我です。
原因としては、下記のことが挙げられます。
- 力みすぎ:ショット時に手や腕に過度な力を入れることで関節や筋肉に負担がかかる
- フォームの不正確さ:正しいスイングフォームを習得していない場合、関節に不要なストレスがかかる
- クラブの不適切な選択:クラブの長さや硬さが自身の体に合わない場合、不自然なスイングを引き起こし、怪我の原因となる
③手や手首の痛み
ゴルフスイング中の手首の動きや、クラブを握る強さが、手や手首の痛みの主な原因となります。
原因としては、下記のことが挙げられます。
- グリップの強さ:クラブを強く握りすぎると、親指の付け根や手首に過度なストレスがかかる
- スイング中の手首の動き:不適切な手首の動きは、筋肉や関節に疲労や痛みを引き起こす可能性がある
④膝の怪我
スイング時の膝の動きや、18ホールを歩く際の繰り返しの歩行が、膝の痛みや疲労の原因となることがあります。
原因としては、下記のことが挙げられます。
- 不適切な靴やインソールの選び方:サポート機能が不十分なゴルフシューズやインソールは、膝への負担を増加させる
- スイング時の膝の動き:膝が不安定な位置にあったり、過度に伸ばしたり、捻れが生じたりすると、スイング中に膝に過度なストレスがかかる
ゴルフの怪我の主な原因
①ゴルフの不適切なフォームやテクニックが引き起こす怪我
- スイングフォームの不均衡
ゴルフのスイングは複雑な動作を要するもので、上半身の回転、下半身の安定性、手首の動きなどが均衡良く組み合わさる必要があります。この均衡が乱れると、特定の部位に過度なストレスがかかり、怪我の原因となります。つまり、スイングおいて様々な部位が連動して動くことが重要となります。 - 力みすぎ
ボールを遠くへ飛ばすために、無理に力を入れてスイングすることは、筋肉や関節に過度なストレスをかける原因となります。 - ダウンスイングでの早すぎる上半身の動き
ダウンスイング時に、上半身が下半身よりも早く動くことは、スイングのタイミングを乱し、不均衡なフォームを生み出す原因となります。中には、上半身から動けば自然と下半身が連動してついてくるという理屈もあります。これは決して間違いではなくその通りではあるのですが、上半身から先行して動き出すと、下半身の動きが止まるケースが非常に多く、怪我の要因となります。下半身から動き出す方が、自然と上半身がついてくるのがわかると思うので、その辺を意識して試してみてください。 - グリップの不適切な握り方
クラブのグリップ方法は、スイングの安定性やボールの方向性に大きく影響します。強く握りすぎたり、不適切な握り方をすると、不均衡なスイングや手首への過度なストレスを引き起こします。身体の構造、運動力学を考えた時に、グリップは「スクエアグリップ」一択であると言っても過言ではありません。
②過度なトレーニングや練習のリスク
- 疲労性の怪我
長時間の練習や頻繁なトレーニングは筋肉や関節の疲労を蓄積させ、筋肉の損傷や関節の炎症を引き起こす可能性があります。特に、フルスイングの練習しかしないとなると身体の疲労が溜まりやすく、腰痛などを引き起こすことが多くあります。 - オーバーユース(使い過ぎ)の怪我
同じ動作の繰り返しは、特定の部位に持続的なストレスをかけることで、怪我の原因となります。例えば、コックを使おうとコックを入れる練習ばかりしていると、手首の怪我につながるなど、同じ動作の繰り返しは怪我の元となります。 - 不完全な回復
十分な休息を取らずにトレーニングを続けると、体が回復するより早くダメージが蓄積してしまいます。筆者自身も、ゴルフが好きすぎて、練習を何時間もそして何日も繰り返してやっていた時期があるのですが、このときは、両手首の怪我(TFCC損傷)をしたことがあります。練習は大切ですが、休息も大事な練習の1つとして捉えておくことが必要です。 - 技術の乱れ
疲労が溜まるとフォームが崩れやすくなり、それが怪我の原因となることがあります。これも、1・2・3につながることですが、練習のやり過ぎ・同じ動作の繰り返し・休息を取らない、このようなことでスイングフォームは間違いなく崩れ、そして怪我につながりやすくなります。
怪我を予防するための方法
①適切なフォームの習得
ゴルフを始める時に、自分の友人などが始めていて誘われて始める方も多いと思います。
この場合、だいたいはその友人に教えてもらうところからスタートすると思いますが、適切なフォームを習得するのに手っ取り早いのはプロに教えてもらうということです。ゴルフ練習場には、ティーチングプロがいることが多いのでプロから教えてもらうことをおすすめします。
但し、プロと言っても身体の専門家ではありませんので、身体に負担の少ない指導を受けられるわけではありませんが、中には「身体への負担を最小限に効率的なスイング指導をします」というようなプロも中にはいるので、このような指導ができるプロに教えてもらうとより良いでしょう。
グリップ(GPA推奨はスクエアグリップ)の握り方、身体の使い方、自分の身体の特性の理解、自分の身体の特性に合わせたスイング、小さいスイングから徐々に大きなスイングへ。などこの辺をティーチングプロに指導してもらうようにしてください。
②ゴルフ道具の選び方
ゴルフの怪我を予防するための道具選びは非常に重要です。適切な道具を選ぶことで、スイング時の負担を減少させることができます。以下は、ゴルフ道具を選ぶ際のポイントをいくつか挙げます。
- クラブの長さ
個人の身長やアームの長さに合わせて適切なクラブの長さを選ぶことが大切です。長すぎるまたは短すぎるクラブは、スイング時の体勢を不自然にし、怪我の原因となる可能性があります。 - クラブの重さ
重すぎるクラブは肩や腰への負担を増加させる可能性があります。一方、軽すぎるクラブは、スイングのコントロールを失いやすくなります。 - グリップの太さ
グリップの太さも手のサイズに合わせて選ぶ必要があります。太すぎると手に過度な力を入れる必要があり、薄すぎると滑りやすくなります。 - ヘッドのデザイン
ヘッドの形状や重さのバランスは、スイングの安定性やボールの飛距離に影響を与えます。自身のスイングスピードや技術レベルに合ったヘッドを選ぶことで、スイングのストレスを軽減することができます。 - シューズ・インソール
ゴルフシューズは、グリップ力があり、足の形に合ったものを選ぶことが重要です。適切なフィット感がないシューズは、スイング時のバランスを崩し、足首や膝への負担を増加させる可能性があります。また、靴の中に入っているインソールもとても重要です。 - ゴルフボール
初心者やスイングスピードが遅い方は、ソフトなボールを選ぶと良いでしょう。これにより、ボールの打感が良くなり、怪我を予防する上で有益です。
以上のポイントを考慮しながら、自分のプレースタイルや体の特徴に合ったゴルフ道具を選ぶことで、怪我のリスクを軽減することができます。
ゴルフクラブの長さなどを自分用にフィッティングしようとすると、なかなかの金額になるため難しい部分はあると思いますが、クラブの重量や柔らかさ(X・S・SR・Rなど)、グリップ、ヘッド(マッスルバック・キャビティ・中空など)、ゴルフボール選びなどは誰でもできます。
自分自身のドライバーのヘッドスピードなどを考慮しながら、ショップの定員さんに相談しながら選ぶようにしましょう。多くの場合、自分のスキルよりも高いスペックのものを選んでいることが多々あります。アマチュアは練習頻度やトレーニングはなかなかできていないことも多いため、道具に頼ることも怪我予防に重要な要素となります。
③日常的な身体のケア(マッサージ・ストレッチ)
アマチュアゴルファーにおいて、日常的に身体のケアをしている人は少ないのではないでしょうか。
年を取ればとるほど、何もしなければしないほど、人間の肉体というのは衰えていきます。
筋力が低下することはもちろんですが、筋肉が硬くなって縮こまってしまいます。日頃から、マッサージやストレッチをして身体の柔軟性を保つこと、さらに筋力を強化すること、体力向上のために有酸素運動を行うことなど、自分自身の身体をケアすることは怪我予防の観点では非常に重要です。
このサイトでは、この辺の内容もたくさん公開していきますので、参考にしていただければ幸いです。
まとめ
ゴルファーに多い怪我やその理由、予防方法についてざっくりではありますが説明をさせていただきました。
ゴルフは生涯スポーツです。筆者も60歳・70歳・80歳になっても健康でゴルフを続けていきたいと思っています。そのためには、怪我をしないためのスイング作り、道具の選定、身体のケアとトレーニング、この辺は必須ですので、読者の皆さんも一緒に取り組んでいきましょう。
ゴルフと部位別の傷害予防や怪我をしにくいスイングの理解・方法、身体のケア方法やケアグッズなど、様々な情報をこれから公開していきますので、是非ご覧いただければ幸いです。